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2021年01月31日

宮古市長選に見られるオール沖縄左翼の敗北


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宮古市長選に見られるオール沖縄左翼の敗北

任期満了に伴う宮古島市長選はⅠ月17日、投開票され、無所属新人の座喜味一幸氏(71)=社民、社大、共産、立民推薦=がⅠ万5757票を獲得し、Ⅰ万2975票を得た無所属現職の下地敏彦氏(75)=自民、公明推薦=を2782票差で破り、初当選した。
報道は左翼政党の勝利であるように報道している。しかし、左翼政党は勝利していない。敗北している。

 4年前の市長選の時はオール沖縄は分裂した。「オール沖縄」勢力を構成する社民、社大は保守と一緒に地元の選考委員会が選出した下地氏を推薦していた。下地氏は自衛隊配備の基地建設を容認していた。自衛隊配備に徹底して反対していたのが共産党であり、共産党は下地氏ではなく自衛隊基地建設に反対する奥平氏を推薦した。オール沖縄の左翼は社 民、社大と共産党が分裂したのである。翁長前知事は共産党が推薦した下地氏の選挙応援をした。
 自民党・公明党が支持した下地俊彦氏が当選した。2位は共産党、翁長前知事が支持した奥平一夫氏であり、票差はわずかに376票であった。四年前の市長選から見れば自衛隊基地建設反対の候補でも勝てそうな雰囲気であった。


 2020年の市長選は4年前の市長選と違ったのはオール沖縄は宮古島市の反下地市長派の保守と共闘したことだ。6年前の県知事選の時は翁長前知事が自民党を離脱して左翼政党と共闘した。今年の宮古島市長選挙は6年前の県知事選と同じである。
 しかし、県知事選の時は保守の翁長側が左翼政党が主張する辺野古移設反対に賛同していたが、宮古島市長選は違った。左翼が主張する自衛隊配備反対ではなく容認だったのだ。
左翼政党が自衛隊配備を容認することは左翼政党としての思想を否定することになる。
 左翼政党が自衛隊配備を容認したのは市長候補の選択過程に原因していた。
座喜味氏はオール沖縄が推薦した候補者ではなかった。オール沖縄が推薦したのは宮古島市議の島尻誠氏だった。座喜味氏を推薦したのは保守派であった。
 宮古の「オール沖縄」勢力と、市政刷新を目指す一部保守系の市議OBらは去年の10月14日に協議を開いた。その日は互いが提案した候補者を擁立するよう譲らず、保守系側が途中で退席し、結論は持ち越しとなった。そのままだったら保守と左翼が共闘できなかっただろう。共闘するのを優先したのがオール沖縄だった。オール沖縄側の候補者として提案した宮古島市議の島尻誠氏(51)が11月17日、立候補を取りやめた。そのことによって保守系の市議OBらが統一候補者として推薦した前県議の座喜味一幸氏を擁立することが決まった。
 宮古島市長選に当選した座喜味氏はオール沖縄が推薦した立候補者ではない。オール沖縄ではない保守の立候補者をオール沖縄も推薦したということである。保守だから自衛隊配備は容認である。保守の主張を左翼政党は受け入れたのだ。

 共産党は自衛隊配備には徹底して反対してきた。2017年には社民、社大が推薦する立候補が自衛隊配備容認だったから配備反対を主張する立候補を立てて、翁長前知事に応援させたのである。共産党が自衛隊配備を容認することはあり得ないことである。容認すれば共産党の綱領に反することになる。ところが今度の市長選では共産党が座喜味氏を支持したのである。
自衛隊が宮古島市に配備することをずっと反対し続けてきたのが共産党である。共産党が自衛隊配備を容認する立候補を支持することはあり得ないことである。あり得ないことが宮古島市長選で起こったのである。自衛隊の宮古島市配備を容認するのは左翼ではない。 
左翼は自衛隊配備を阻止したい。そのために選挙で配備反対の市長や議員を確保するのが左翼の目的である。しかし、宮古島市では左翼単独では絶対に勝てない。選挙に勝つためには自衛隊を容認する保守系候補を支持しなければならなくなったのである。選挙で勝つことを優先したために自衛隊配備容認をしたのである。

 宮古島市長選があった4年前の2016年に陸上自衛隊配備に反対する「宮古島平和集会」が同市で開かれた。大雨が降る中、約300人が参加し、「新たな自衛隊基地建設を許さず、子どもたちに平和な未来を残そう」と配備計画を撤回させる運動を展開した。
 国会でも共産党赤嶺政賢、社民党照屋寛徳、社大党糸数慶子、仲里利信の「オール沖縄」国会議員か配備撤回に取り組んでいね宮古島市の反対運動と連帯することを宣言した。その集会に国会議員であった。玉城デニー知事も参加していた。
 自衛隊配備に反対していたデニー氏が県知事になったのだからオール沖縄は自衛隊配備反対がもっと強くなるはずである。しかし、宮古市長選ではオール沖縄は自衛隊配備容認になっているのである。

左翼と保守の違いは米軍、自衛隊の駐留に対する賛否である。宮古島市の自衛隊駐留を容認したのが保守であり反対したのが左翼である。容認するということは左翼としてのイデオロギーを放棄したことになる。左翼の敗北である。左翼国会議員も宮古島市の自衛隊配備反対の声を上げることができなくなった。左翼政党は宮古島市の自衛隊配備反対運動をバックアップすることもできなくなった。バックアップすれば市長選で容認したことに反するからだ。
「陸上自衛隊配備反対」運動している市民の「陸自配備に反対の候補が出てほしかった」と不満の住民に応えることができなくなった左翼政党である。
オール沖縄は宮古市長選に勝利した。しかし、オール沖縄の左翼政党は敗北した。


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