2012年02月29日

野田首相批判の我部琉大教授批判

野田首相批判の我部琉大教授批判



我部琉球大学沖縄国際研究所長は沖縄に米軍が駐留していなかった場合をシュミレーションしたことがあるだろうか。
もし、米軍が沖縄に駐留していなかった場合はウィグル地区やチベットのように中国の人民解放軍に沖縄は武力制圧されていただろう。中国に支配された沖縄とアメリカ軍が駐留した沖縄を比べると、アメリカ軍が駐留してきた沖縄のほうがずっといいことがわかる。
 チベットは民主化を求めて若い僧や僧侶が痛ましい焼身自殺をしている。ウィグル地区ではテロで差別に反抗している。沖縄では民主化を求めた焼身自殺はない。テロもない。戦前までつづいていたソテツ地獄(飢饉のために毒性の強いソテツを食べた)も戦後60年以上ない。

 世界一の経済国であり、民主主義国家アメリカの軍隊が駐留したから沖縄の経済はよくなり、政治も民主主義政治になった。もし、戦後沖縄が独立国になっていたらどうなっていただろう。戦前の沖縄の思想は武士支配思想、軍国主義、共産主義はあったがが民主主義思想はなかった。もし、沖縄が独立していたら独裁政治国家になっていただろ。独立国沖縄には外国の経済援助がなかったはずだから琉球王朝時代から戦前まで続いていた飢饉によるソテツ地獄を繰り返していただろう。
アメリカ軍が駐留していなかったら沖縄は中国に支配されていたか、ソテツ地獄の貧しい沖縄になっていたはずである。

沖縄が民主主義社会になったのも140万人もの人間が住めるようになったのも米軍の駐留が強く影響している。だから米軍さまさまといっているのではない。評価するべきことは評価したうえで批判をするべきであるといいたいし、今後の沖縄経済を考えると、基地経済からの脱出は簡単ではないことを覚悟するべきであるといいたいのだ。

自衛隊員は全国で230000人である。在日米軍人は全国で44000人である。米軍より圧倒的に自衛隊が多い。「沖縄に来て、日本の安全のために沖縄の人々に米軍基地を今後も引き受けてもらわねばならない」と野田首相に皮肉を言い、まるで米軍が日本防衛をやるように我部氏は述べているが、23万人の自衛隊と4、4万人の米軍ではどっちが日本を防衛することができるか明白だ。たった4.4万人の米軍が自衛隊より防衛能力が優れているはずがない。防衛の役目は自衛隊だ。米軍ではない。

「日本政府は、米国の戦略とは関係なく、沖縄に米軍基地が存続することを当然視し、そのことが沖縄を除く日本の利益だと考えてきた」と我部氏は分析する。我部氏の分析は日本政府の政治家や官僚が裏でアメリカと日本の国益のために激しい交渉をしてきたことを軽視している。

沖縄に関する特別行動委員会(SACO)は、1996年に嘉手納飛行場以南の米軍基地の返還、在沖海兵隊8000人のグアム移動、普天間飛行場の辺野古移設を発表した。在沖米軍は22000である。そのうちの8000人を移動するということは半分近くの海兵隊が沖縄から減るということである。基地も海兵隊も激減させる案であり、アメリカ側は強く反対したが橋本首相の強い要求が働いて実現したはずである。
16年前のSACOの発表を見ても、「沖縄の基地を固定化するための論理として」うんぬんというのだからあきれる。日本政府もアメリカも沖縄に基地を固定化することは考えてはいない。中国、北朝鮮の脅威を抑止する必要がなければアメリカ軍は沖縄から撤退する。なぜ、我部氏はアメリカ軍が沖縄に駐留している理由を正確に理解しようとしないのだ。学者は政治屋のような嘘をつく必要はない。学者は客観的な事実を積み重ねて論理的に解明する存在であるべきだ。沖縄に住んでいる国際政治学者なら日本やアメリカだけでなく、中国や北朝鮮やアジアの国々の政治状況を真摯に分析するべきだ。その上でアメリカ軍がアジアでどんな役割をしているか、そして、アメリカ軍の中で沖縄のアメリカ軍はどんな役を果たしているのかを明確にし、沖縄の人々に伝えるのが沖縄に住んでいる学者の役目ではないか。野田首相へのケチツケの理論なんてつまらない。

ケチツケの理論の果てにたどりついたのが「多数者に対抗する少数者には哲学が不可欠だ」の発言となった。哲学が不可欠だといったからといったちころですばらしい哲学が生まれるものではない。我部氏が望む哲学は我部氏のの染む哲学であり、他の人が望む哲学ではない。我部氏の望む哲学は我部氏が生み出すのであり、他人が生み出すものではない。理想な哲学が生まれてくるまでいかに生き延びていくのかという発想は苦笑するしかない。理想な哲学を期待するより、自分自身の哲学を半歩でも前進させることが大事だ。

現代沖縄の課題は理想の哲学が生まれるのを待つのではなく、沖縄・日本・アメリカ・アジアの国々の事実を正確に把握したうえでこれからの沖縄を考えることだ。


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