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2022年07月16日

沖縄の米軍基地はアジアの平和維持のため 日本防衛のためではない 矮小化するな

沖縄の米軍基地はアジアの平和維持のため 日本防衛のためではない 矮小化するな

 「沖縄の米軍基地を東京へ引き取る」ことを公約に、今夏の参議院選挙で出馬した右翼女性がいる。中村之菊(なかむら みどり)氏である。中村氏は国内にある米軍基地の約7割が沖縄に集中している。沖縄の負担を国民みんなで分け合うことは当然のことであると主張し、その切っ掛けをまず官庁街・国会がある「東京へ引き取る」ところから始めるという。中村氏が立ち上げた政党名が「沖縄の米軍基地を東京へ引き取る党」である。
 中村氏は沖縄の米軍基地に対して根本的な勘違いをしている。沖縄の米軍基地は日本を防衛することが目的ではない。だから、東京などの本土に移設すると沖縄米軍基地の本来の機能が失われてしまう。
 日本の防衛の中心は自衛隊である。自衛隊基地は米軍基地よりはるかに大きい。自衛隊と在日米軍で日本の防衛は十分である。沖縄の米軍基地を本土に移設しても防衛力はわずかに増すだけである。軍事的に沖縄の米軍基地を本土に移設する理由はない。むしろ、軍事的には移設しない理由が大きい。

 沖縄の米軍基地は日本復帰する前からあった。米国が統治していた時には沖縄の米軍基地が日本を防衛するのが目的であると言われていなかった。そもそもが日本の法律に束縛されないで米国が米軍を自由に動かす目的で沖縄を日本から切り離して統治し、米軍基地を建設したのである。沖縄の米軍基地が日本防衛を目的にしていなかったのは明らかである。
 沖縄の米軍基地の目的ははっきりしていた。それが分かるのが下の地図である。
 米国と対立関係にある社会主義国家ソ連、中国の拡大を食い止めるために米国は沖縄の米軍基地を設立したのである。
 1950年に社会主義ソ連のスターリンの支援によって北朝鮮は南朝鮮に侵攻し95%を支配した。米軍などの連合軍によって支配地を奪回した。社会主義ソ連、中国は軍事力によって支配地を拡大していた。社会主義の拡大を防ぐために米国は沖縄に米軍基地を設置したのである。
 朝鮮戦争、ベトナム戦争では沖縄の米軍基地から戦闘機や兵士が戦地に向かった。


 沖縄の米軍基地はロシア、中国の拡大を防ぐのが目的で会って日本を守るのが目的ではない。
 嘉手納飛行場や普天間飛行場を東京に移設したら、目的を果たすことができない。東京移設はありえないことである。

 日米戦闘機52機が6、11、12日の3日間、大規模訓練を行った。訓練の目的は中国・ロシアへの抑止力を示すことである。ロシアがウクライナ侵攻してから嘉手納飛行場の騒音がひどくなっていた。それが日米合同訓練の準備だったのだ。
 沖縄の米軍基地はロシア、中国のアジアの国々への侵略を防ぐために存在しているのだ。東京などの本土に移設すればアジア防衛の戦力ダウンになるのである。本土への移設はするべきではない。言うまでもなく日米両政府には移設する気はない。

 中村氏が沖縄の米軍基地を東京に移す理由は日本国内にある米軍基地の約7割が沖縄に集中していることである。米軍基地の存在は国民の負担であり、沖縄が7割も負担している。沖縄の負担を国民みんなで分け合うことを中村氏は主張している。国民全体で負担する切っ掛けをまず官庁街・国会がある「東京へ引き取る」ところから始める目的で。「沖縄の米軍基地を東京へ引き取る党」をつくり参院選に立候補したのである。
 中村氏にとっての在日米軍は日本防衛のために存在するものである。日本以外のアジアの民主主義国家を守る存在ではないのである。このことが右翼と米国の違いである。
 ウクライナ戦争で分かったように米国は民主主義国家を徹底して支援する。米国の経済、兵器の惜しみない援助によってウクライナはロシアの侵略と戦っている。ウクライナ戦争で分かるように沖縄の米軍基地はアジアの民主主義国家の平和を守るために存在しているのだ。

 沖縄の基地を本土で引きとるという運動は中村氏が初めてではない。数年前から沖縄で始まっている。米軍基地を沖縄に押しつけるのをやめて、基地問題を日本全体の問題として考え、本土に引き取ろうという運動である。運動をしている市民団体は本土各地にあり団体は全国ネットワークで連携している。全国的な運動である。
 市民団体は沖縄県をのぞいた全国の都道府県議会や1700の市町村議会に陳情書を送った。
〇沖縄を「捨て石」にした差別的な安全保障政策をやめること
〇辺野古新基地建設を断念すること
〇普天間飛行場を本土に引き取り、日本全体で問題解決する                
という内容である。陳情書の内容を見れば市民団体が左翼であるのは明らかである。
左翼と右翼は沖縄の米軍基地を本土に移すことで一致している。米軍に対しては左翼と右翼が同じ考えであるのは左翼と右翼に共通するものがあるからである。両者には米国に協力に存在する民主主義イデオロギーがないのだ。だから、アジアの民主主義を守る考えが欠落している。
 韓国、台湾、フィリピンは議会制民主主義国家である。米国はウクライナと同じように3国もロシアや中国の侵略から守る。そのために沖縄の米軍基地は存在するのだ。左翼と右翼には米国のようにアジアの民主主義を守る考えがない。日本防衛のためだけに沖縄の米軍基地はあると考えている。だから、本土への移設を考えるのである。
30年前の1992年にフィリピンの米軍基地は撤去された。沖縄の米軍基地はますます重要な存在になったのである。今はフィリピンで反政府ゲリラとの戦争が怒れば沖縄の海兵隊がフィリピンに行き政府軍を援助している状況である。

左翼と右翼には民主主義イデオロギーが存在しない。それが明らかになったのが沖縄米軍基地の本土移設論である。


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