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2012年02月21日

沖縄の歴史、現実を捻じ曲げる者たち

沖縄の歴史、現実を捻じ曲げる者たち



中学生の時、時代劇映画で木製の鍬を使っているシーンを見て驚いたことがある。沖縄の畑を耕したことがある人はわかるが、沖縄の畑は土が固くて木製の鍬では耕すことはできない。鉄の鍬でも勢いをつけないと耕すことはできない。木製の鍬なら表面をなぞるだけで数センチも耕すことはできない。

 本土の土は長い間腐れた植物が混ざり、腐葉土となっているから、栄養は豊富で土は柔らかくなっている。沖縄の赤土は歴史が浅く、腐葉は混ざっていないから栄養は少なく土は固い。
本土は冬に雪が山につもり、春から夏にかけて雪の溶けた水が川に流れて、年中水が豊富だ。沖縄は小さな島であり、水は豊富ではない。沖縄では水田ができる場所は非常に限られているから米の生産は少ない。だから沖縄の主食は米ではなく芋だった。
 1605年に野国総監が中国から芋苗を導入した。芋はやせた土地でも育ち、水がなくても育つ。野国総監が芋を導入し、儀間真常が広めることによって沖縄の飢饉が救われたというのは有名な話だ。沖縄は芋が広まるまでは頻繁に飢饉に見舞われていた。芋がひろまったから飢饉がなくなったかといえばそうではない。芋があっても沖縄の農民は何度も飢饉に見舞われた。
飢えをしのぐために農民は毒性の強い、調理の仕方を間違えれば死んでしまうソテツを食べなければならなかった。沖縄は何度も飢饉に襲われた。飢えをしのぐためにソテツを食べたので、沖縄の飢饉をソテツ地獄と呼んでいる。農民は餓死を免れるために、畑の近くにはソテツを飢えていたという。
ソテツ地獄は琉球王朝だけではなく大正末期から昭和にかけてもやってきた。

戦前まで沖縄は農業が中心だった。だから非常に沖縄は貧しかった。農業で生活するためには広い土地が必要だ。だから長男ひとりしか畑を引き継ぐことはできない。次男三男は村を出ていかなければならなかった。
当山久三は移民をすることによって次男三男の生きる道を開いた。日本軍が武力で南方の国々を制圧して植民地にした時、沖縄の多くの農民の次男三男が南方に移民した。

 農業に向いていない赤土を耕した沖縄の農民は何度も飢饉に襲われた。沖縄の歴史本を読めばソテツ地獄のことはすぐに分かることであるが、左系の知識人や政治家、マスコミは、琉球王朝時代は中国と貿易をして豊かであったとか、戦後の沖縄は豊富な土地を米軍に取られて、農業ができなかったと吹聴している。彼らは米軍によって沖縄の農業がだめになったと県民に思わせるために、沖縄の農業のきびしさを象徴しているソテツ地獄のことは話さない。
だから、山城藍子さんのように、「米軍に農地を奪われていなければ、温暖な気候の沖縄県は、1次産業で栄えた豊かな県になっていた」という妄想を抱くのだ。
沖縄で畑に向いている平野部は那覇市以南の南部のほうだ。南部は米軍用地がほとんどない。米軍が農地を奪ったというのは本当ではない。普天間飛行場は平地であるから畑に向いていたかもしれない、しかし、丘の頂になっているので水は少なく豊かな農地とは言えない。普天間飛行場の畑はさとうきびや芋の栽培しかできなかっただろう。普天間飛行場の隣のズケラン部隊は海の近くは平たんであるが国道331号線あたりの広い軍用地は凸凹であり、戦前は山だっただろう。ズケラン部隊のほうが普天間飛行場より広い。
中部では海沿いや嘉手納飛行場が平野である。嘉手納飛行場より広い嘉手納弾薬庫は山である。読谷村は平野が多いし、かなりの土地が軍用地である。しかし、軍用地ではあっても畑のほとんどは黙認耕作地となっていてさとうきびや芋をつくっている。

恩納村はほとんどが山である。名護市も多くは山地である。国頭はほとんどか山地だ。沖縄の地図をみればわかるが沖縄本島の中心は恩納村の中心あたりであり、恩納村から北は山地が多く、沖縄全体は山地のほうが多い。
米軍が沖縄の広大な畑地を接収したというのは間違いだ。むしろ畑を潰していったのは沖縄の政治だ。普天間飛行場の周囲は黙認耕作地だったが、黙認耕作地が返還される畑を住宅地に転用して、畑を潰してどんどん建物をつくった。
宜野湾市から那覇市まで昔は畑があったが、今は畑がほとんどなくなっている、畑を宅地に転用して畑を潰し住宅や商業地にしたからだ。中城村は畑が多い。中城村は農業を重視して役所が畑を宅地に転用させなかったからだ。

沖縄全体では畑と軍用地ではどっちが広いだろうか。当然のことながら圧倒的に畑が広い。しかし、養豚などの畜産業を含んだ一次産業の産出額は930億円前後であり、軍用地料も930億円前後である。農業と軍用地料のふたつは収入金額が肩を並べている。いや、農業の場合は肥料や器具などの出費があるから数百億円は収入にはならない。
だから、農業収入と軍用地収入では軍用地収入のほうが多いといえる。農業収入と軍用地収入の坪単価は圧倒的に軍用地のほうが勝っている。うれしいことではないが、それが事実だ。

山城さんの意見は間違った事実認識から述べられている。その原因をつくったのがマスコミであり、左傾の政治家、知識人である。

沖縄の歴史を捻じ曲げ、戦後の沖縄の歴史を捻じ曲げ、沖縄の現実を捻じ曲げているのがマスコミであり、左傾の政治家、知識人である。そうであってはいけない。現実を正しく認識しないと明日の沖縄の設計図を描くのは無理だ。


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