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2016年07月23日

選挙から政治の季節へ 辺野古も高江も政治的に危惧することはない






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選挙から政治の季節へ
辺野古も高江も政治的に危惧することはない

 選挙は当選することが肝心である。衆議院選挙で勝てば国会議員になり国政に参加することができるし、知事選挙に勝てば知事になって県政を行うことができる。県議会選挙に勝てば県政に参加できるし、地方選挙に勝てば地方の政治に参加できる。落選すれば政治に参加できない普通の市民のままである。それが議会制民主主義である。
 選挙に勝つには市民の票を相手候補より多く得なければならない。票を多く得たほうが選挙に勝って当選する。現実の選挙では政治に優秀である候補者が票を多く得るとは限らない。選挙は人気勝負であり、政治を知らなくても当選することができる。
 今度の参議院選挙に一世を風靡したボーカル&ダンスグループSPEEDのメンバーであった今井絵理子氏が立候補したが、彼女は歌手であり政治については素人だった。しかし、選挙ではトップ当選をした。理由今井氏がSPEEDのメンバーとして有名だったからである。
 沖縄の参議院選では伊波洋一氏が圧勝したが、それは参院選挙直前に20歳の島袋里奈さんを暴行・殺害・遺棄した事件で元海兵隊のシンザト・ケネフが逮捕されたの原因だった。
 当選する要因は色々ある。政治に精通している立候補者が当選するとは限らない。

 2014年の沖縄県知事選では仲井眞弘多知事、翁長雄志、下地幹夫の三氏が立候補したが、翁長知事は沖縄アイデンティティを主張し、保守でありながら革新系の共産党、社民党と連携した。そして、辺野古移設反対を公約にして辺野古移設を容認した仲井真県知事に大勝した。
 衆議院選でも小選挙区は翁長知事の沖縄アイデンティティと辺野古移設反対を主張した候補者が全員当選した。そして、今年は県議会選挙と参議院選挙でも翁長知事・革新系が勝利した。
 当選した原因は色々あるが、当選した政治家が国の政治、県の政治をやることになる。
 国会議員は国の政治に関わり。県知事や県会議員は県の政治に関わる。
 衆議院選で小選挙区では翁長知事派が4人全員当選したが、比例では自民党3人維新1人で保守派4人が当選した。だから、議員数では翁長知事派と反翁長知事派は五分五分である。政治は小選挙区当選議員と比例当選議員は同じ権限であるから沖縄の衆議員は五分五分であるのだ。それが議会制民主主義の政治である。
国会では自民党と公明党で3文の2の議席数であるから、翁長知事・革新派の議員は国会での政治力は非常に小さい。少数議員の辺野古移設反対は国会では通用しない。これもまた議会制民主主義である。

 翁長知事は辺野古移設反対を公約にして県知事選を戦い当選した。しかし、翁長知事が当選した瞬間に辺野古移設は中止したかといえばそうではなかった。辺野古移設反対を公約にして当選しても中止させることができない。辺野古移設はすでに決まっていたからだ。決まっていた辺野古移設を、移設反対を公約にした政治家が当選しても中止させることはできない。これも日本が議会制民主主義国家だからである。
 移設が決まる前だったら知事が移設に反対すれば移設はできなかった。
与那国島への自衛隊配備を巡って、隊員と家族の移住による経済効果などを訴える賛成派と、有事に攻撃目標となる危険性を指摘する反対派で町が二分されてきた。13年の町長選で賛成派の外間守吉町長が3選した。自衛隊配備を受け入れるか否かの権限は町長にある。議員や住民にはない。外間守吉町長が受け入れに賛成したから防衛省は14年4月から駐屯地の工事を開始したのである。15年2月には陸自配備の賛否を問う住民投票が行われたが、賛成が上回った。外間守吉町長は反対が上回ったら受け入れないと宣言していた。もし、反対が上回ったら陸自配備は中止していただろう。
 宮古島への陸上自衛隊配備計画を巡り、下地敏彦市長は20日の市議会6月定例会の一般質問で、市民の生命財産や国土の保全、国民の安全を確保する観点から「宮古島への自衛隊配備については了解する」と受け入れを表明した。下地市長が受け入れに賛成したから宮古島への陸上自衛隊配備は決定した。
与那国島、宮古島に見られる通り、自衛隊配備を受け入れる権限は地元の首長にある。首長が反対すれば、国は配備することができない。
議会制民主主義国家日本では地方自治体にも自治体の権限があり、中央政府がやりたい放題にはできないようになっている。
 辺野古も地元の辺野古区、名護市長が移設に反対している時は政府が移設をやりたくてもできなかった。辺野古区、島袋名護市長がV字型滑走路にすることで賛成し、政府と確約を交わしたから辺野古移設は決まった。政府が一方的に決定したのではない。
 辺野古移設は政治的に2010年に決着した。それは与那国島の陸自配備や宮古島への陸上自衛隊配備と同じである。辺野古の場合は海の埋め立て工事が必要であり、埋め立ては公有水面埋立法に則ったものでなければならないし県知事の承認が必要だった。防衛局は県に埋め立てを申請した。県から申請承認を得たのが2013年の12月だった。
 政府は埋め立て承認を得たので埋め立て工事のためのボーリング調査を始めた。
 もし、海の埋め立てがなかったら2010年に辺野古飛行場建設工事は始まっていた。
 県知事選の時に翁長雄志候補が辺野古移設反対を公約したのは移設を決定した後であるので、反対している翁長候補が当選しても辺野古移設を中止することができないのは明らかであった。翁長候補は実現できないことを選挙公約にしたのである。そして、選挙に勝利した。
 
 安倍政権が辺野古移設の意思がある限り翁長知事が移設を阻止できないのは確実である。できるのはせいぜい工事を引き延ばすくらいである。翁長知事は無駄な抵抗をしているだけである。
 翁長知事の奇策でもしかすると辺野古移設が中止になるかもしれないと思う人がいるかもしれないが、そんな心配は無用である。翁長知事がどんな奇策を用いたとしても辺野古移設を中止にすることは不可能だ。
 安部政権は紆余曲折があって辺野古基地建設を中断しているが、辺野古埋め立て工事を再開するために政府は埋め立て承認取り消しに対する国の是正の指示に沖縄県の翁長雄志知事が応じないのは違法として、違法確認訴訟を起こした。
 承認取り消しは違法であるから安部政権が裁判に勝つのは確実である。議会制民主主義は法治主義である。翁長知事が違法行為をしても、違法行為であることを判断するのは法廷であるから訴訟を起こし、司法の判断を仰がなくてはならない。だから違法確認訴訟を起こした。判決が下るまでは辺野古の埋め立て工事は中断しなくてはならない。

 安倍政権が辺野古移設を最優先にしていれば、翁長知事が埋め立て承認の取り消しをした時、翁長知事の取り消しは違法行為であると県に通知し、違法行為に従うことはできないと辺野古移設工事を続行していればよかったのである。
 しかし、県議会選挙と参議院選挙があるので、選挙を有利に展開するために、安倍政権は対立路線ではなく和解路線を選択した。和解路線が順調に進めば県議会選挙と参議院選挙を勝っていたはずだが、20歳の若い女性が元海兵隊に暴行殺害遺棄されるという残虐非道な事件が起こり、県民の反米軍基地が高まって県議会選挙と参議院選挙は敗北した。
 選挙が終われば勝敗に関係なく、辺野古移設工事を再開する方向に進めるのが安倍政権の方針である。選挙に勝てば辺野古移設工事が有利になり、選挙に負ければ辺野古移設工事が不利になるということではなかった。選挙に勝っても負けても翁長知事との対立関係は同じであるし、翁長知事の主張とやり方に変化はない。
 安倍政権が辺野古工事を進めるためには安倍政権のほうから法廷闘争に持ち込むしかない。翁長知事の承認取り消しを違法だと主張して辺野古移設工事を続行しながら法廷闘争を続けていれば工事はずっと続けることができたが、安倍政権は裁判所の提案した根本案と暫定案で暫定案を受け入れて県と和解し、訴訟を取り下げて、ボーリング調査を中止した。そして、翁長知事との協議を始めた。工事を再開するには協議で翁長知事が辺野古移設を認めるようになればいいが、翁長知事が辺野古移設を認めることは100%ない。協議を続ける間は辺野古工事は再開できない。
 安倍政権が辺野古工事を再開するには法廷闘争をして、翁長知事の埋め立て承認取り消しが違法であるとの判決を勝ち取る以外にはない。
 21日午前に官邸で開かれた政府・沖縄県協議会で提訴方針を伝えられた翁長知事は「訴えが可能となる日を待っていたかのように直ちに提訴する判断が示されたことは非常に残念だ」と述べ、国の姿勢を批判したが、翁長知事の言う通りである。
協議では翁長知事が工事再開は絶対に認めることはないから工事再開はできない。一方、埋め立て承認取り消しに対する国の是正の指示に翁長知事が応じないのは違法だとして、不作為の違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に提起したが、翁長知事は政府を批判はしても訴訟を止めることはできない。これが議会制民主主義の政治である。
政府による22日の提訴後は、地方自治法の規定に基づき「15日以内」に福岡高裁那覇支部で第1回口頭弁論が開かれる。判決までは「数カ月程度」(政府関係者)の期間を要する見通しだ。

政府側は和解で中断を確認した「埋め立て工事」に該当しないシュワブ陸上部の「再編成事業」について工事を再開する意向を示した。県側は辺野古基地建設を前提とした工事ではないか確認する必要があるとして、後日、詳細を説明するよう政府に求めたが、実は翁長知事は辺野古埋め立てに瑕疵があるといって埋め立て承認の取り消しをしたのであって、辺野古移設中止を政府に要求したのではない。
辺野古移設が不当であるから中止するように要求するには2010年の辺野古移設決定が不当であると主張するべきであるが翁長知事は2010年の辺野古移設決定が不当であるとは主張していない。辺野古埋め立てが不当であると主張している。だから、シュワブ陸上部の「再編成事業」は翁長知事の承認取り消しとは関係がないから再開するのに県の了承は必要ない。


選挙の季節は終わり。これからは政治の季節である。辺野古移設と高江のヘリパッド移設が選挙の季節で滞っていたが、安倍政権はこれから二つの移設をスムーズに進めるだろう。
22日に安倍政権は、辺野古移設に関しては、埋め立て承認を取り消した翁長知事が是正指示に従わないのは違法だとして、沖縄県を相手に不作為の違法確認訴訟を起こした。法廷闘争の再開である。辺野古移設を阻止することが目的である翁長知事とは法廷闘争で決着をつける以外に方法はない。不作為の違法確認訴訟は辺野古移設工事への始まりである。
同じ22日に安倍政権は全国から派遣された機動隊などを含めた警官500人を動員してヘリパット移設反対派活動家たちを排除した。工事車両の進入を防ごうと、県道上に停めてあった約170台の車を機動隊が次々とレッカー車や専用機材で移動させ、テントも撤去した。
ヘリパッド建設予定地のN1地区裏側(通称・N1裏)のフェンス設置に始まり、その東側のG、H地区、県道70号沿いのN1地区出入り口(通称・N1表)の計4カ所にフェンスを設置し、ヘリバッド建設工事を始めたヘリパッド工事の再開である。今年で建設を完成させる予定である。

沖縄平和運動センターの山城博治議長は「選挙が終わるたびに市民排除を強行することは『県民がいくら意思表示しようと、国策のため政府は容赦しない』という姿勢の表れだ」と指摘した。山城議長の言う通りである。例え高江や辺野古移設の工事が政治的に正当な行為であっても、山城議長など反対派は国が勝手にやりたい放題やり、民主主義を裏切っていると県民に吹聴する。マスコミは反対派の主張が正しいように報道する。県民は反対派寄りのマスコミの報道を信じて翁長知事と革新を支持するようになり政治的に正しい行為をしている安倍政権のほうが選挙で負けてしまう。安倍政権の悪印象を防ぎ選挙に勝つために安倍政権は選挙の前に工事を中断した。これは議会制民主主義の政治的駆け引きである。
高江のヘリパット工事は2年間中断した。辺野古移設では訴訟を撤回し、ボーリング調査を中止して県との和解案を受け入れた。それは県議会選、参院選で県民の支持を増やし選挙に勝利するためであった。しかし、安倍政権の狙いは外れ、選挙は敗北した。これで選挙の季節は終わった。これからは選挙のことは気にしないで高江辺野古移設とヘリパット建設に集中することができる。

翁長知事は国が違法確認訴訟を提起したことについて「国の強固な態度は異常だ。強行に新基地建設を進めることは、民主主義国家のあるべき姿からはほど遠い」と批判し、高江でヘリパッド建設を再開したことに関しては「強行に工事する政府の姿勢は到底容認できない」と抗議した。そして「オスプレイを配備する根拠がみえていない。オスプレイが訓練するのははっきりしている。説明がないまま着工すべきではない」と非難した。機動隊が反対する市民や車両などを除去したことについては「強制的に排除する事態が生じていることは県民に大きな衝撃と不安を与えるもので残念だ」と不快感を示した。マスコミも高江のヘリパット工事再開を強行だと安倍政権と警察を非難している。
翁長知事やマスコミは安倍政権を非難し、県民の安倍政権へのイメージを悪くしているが、安倍政権の辺野古の法廷闘争、高江のヘリパット建設を止めることはできない。
翁長知事もマスコミも安倍政権の政治を止めることはできない。法廷闘争で安倍政権は勝ち、辺野古の埋め立て工事を再開するのは確実である。高江のヘリパッドが建設されるのも確実である。
辺野古も高江も政治的には問題はない。なにも危惧することはない。

沖縄の声】伊波氏の大勝の原因は”元米兵”によるうるま市女性遺体遺棄事件、選挙から政治の季節へ[桜H28/7/15]
チャンネル桜沖縄支局「沖縄の声」
2016/07/15 に公開
平成28年7月14日木曜日に放送された『沖縄の声』。本日は、キャスターの又吉康隆氏が前半「伊波氏大勝の原因は”島袋さんの死”」、後半のコラムコーナー”又吉康隆のこれだけは言いたい”では「選挙から政治の季節へ」のテーマについて解説いただきます。
※ネット生放送配信:平成28年月7月14日、19:00~
出演:
   又吉 康隆(沖縄支局担当キャスター)

※チャンネル桜では、自由且つ独立不羈の放送を守るため、『日本文化チャンネル桜二千人委員会』の会員を募集しております。以下のページでご案内申し上げておりますので、全国草莽の皆様のご理解、ご協力を、何卒宜しくお願い申し上げます。
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Posted by ヒジャイ at 12:03│Comments(0)辺野古移設問題
 
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