原因の根っこは斎藤知事と県職員の対立
兵庫県は戦前・戦後ずっと自民党系の知事であった。斎藤氏が知事に就任する前は60年間副知事経験者が知事の座を占め続けていた。
戦後の歴代知事である。
31齋藤亮
32岸田幸雄
33遠藤直人
昭和22年4月12日
34岸田幸雄
35岸田幸雄
36阪本勝
37阪本勝
38金井元彦
39金井元彦
40坂井時忠4期
41坂井時忠
42坂井時忠
43坂井時忠
44貝原俊民4期
45貝原俊民
46貝原俊民
47貝原俊民
48井戸敏三5期
49井戸敏三
50井戸敏三
51井戸敏三
52井戸敏三
53齋藤元彦
54齋藤元彦
斎藤氏が知事に就任する前は60年間自民党系の知事であったが、同じ知事が何代も続けて知事の座を占め続けていた。斎藤知事の前の井戸俊三知事は5代(20年間)も知事の座についていた。自民党に対立できる自民党以外の政党は旧社会党系と共産党であり、二党は少数政党であり、与党になることはなかった。自民党は安定した与党であり知事も自民党系の知事であり続けた。
そのような県政では知事は殿様のような存在である。政策に懸命になることもなく、政策は県の職員の幹部に丸投げしていた。そのような自民党の安定した政治で、5期も続いた井戸知事は老齢になり知事の座に座ることができなくなった状況で齋藤元彦氏が自民党の推薦で知事選に立候補した。今まで通りなら副知事である金沢和夫氏が自民党の推薦で知事になっていたが、自民党内で内紛があり官僚で政府から出張して大阪府財政課長であった斎藤氏を自民党の知事立候補に決め、斎藤氏は自民党と維新の会の推薦で知事選に立候補した。
・斎藤 元彦43歳 推薦:自民・維新
元大阪府財政課長元総務省理事官
858,782(46.9%)
・金沢 和夫65歳
元兵庫県副知事元総務省大臣官房審議官
600,728(32.8%)
・金田 峰生55歳 推薦:共産
184,811(10.1%)
・中川 暢三
140,575(7.7%)65歳
元加西市長元大阪市北区長
・服部 修 47歳無
46,019(2.5%)
自民党の内部分裂がなければ自民党は副知事であった金沢氏をを推薦し、金沢氏が兵庫県知事になっていただろう。金沢氏が知事になれば60年続いている自民党流の政治が実施されて平穏な県政治が続いていただろう。斎藤氏が大阪府に派遣され維新の会の政治に出会ったことが原因となり、維新流の政策を兵庫県で実践したことで兵庫県で混乱が起こったのである。
斎藤氏は大阪府財政課長などを歴任したが、兵庫県での勤務経験はなかった。兵庫県のことを余り知らない斎藤氏が43歳で知事になったのである。斎藤氏は兵庫県で戦後最年少の知事となった。斎藤氏は知事になったこともなかったし議員になったこともなかった。兵庫県知事になるまではずっと政府の官僚であり続けた。政治はど素人の斎藤氏であったのだ。
政治にど素人であった斎藤氏は知事になると維新の会の政治を参考にして、兵庫の政治改革の計画を立てた。斎藤氏はエリート官僚である。だから明確に政治改革の目標をつくることができた。
斎藤知事が目指した政治改革
・県立大学の授業料を無償化、
・知事の報酬カット(給与30%、退職金50%)、
・公用車センチュリー廃止
・外郭団体の天下り改革
・県職員OBの天下りを規制
兵庫県の天下り規制は、斎藤元彦知事になってから着手された。
・姫路ふ頭利権の問題を指摘、既得権益への圧力
目の届きにくい姫路や西宮で好き勝手やってたのに、斎藤知事が経費まで把握できる「指定業者制度」にした。
・港湾利権の規制
港湾利権の不正は長年にわたり続けられていたと考えられており、斉藤知事が就任後、この問題に着手したことで外郭団体の利権構造が明らかになった。
斎藤知事は今までの知事が絶対にやらなかった政治改革をやったのである。それが県職員OBの天下り規制である。過去の知事たちは殿様政治だったから、政治は県職員幹部に丸投げであった。天下りは県職員が望むことである。だから、兵庫県庁には天下りがあった。その天下りを斎藤知事は規制したのである。
県庁の職員は政治に素人である斎藤氏が知事になると天下りを規制したことに驚いただろう。外郭団体の天下りや既得権益の甘い汁を吸っていた連中は斎藤氏を知事の座から引きずり落としたくなった。それを実行したのが7つの告発文書であると考えることができる。であれば告発文書を書いた元県西播磨県民局長(60)は百条委員会に出席し、告発文書が真実であることを力説するべきである。
7つの告発文書を力説して斎藤知事を辞職に追い込むのが元県西播磨県民局長(60)の役割である。ところが彼は7つの告発文の力説をやらなかった。斎藤知事を批判して辞職に追い込むはずの百条委員会に出席しないで自死したのだ。
県民局長は「死をもって抗議する」と書き残して自死したというが、変である。口封じをされていたら「死をもって抗議する」を理解できるが百条委員会で思う存分に主張することができる状態になったのに話すことを止めて自死したのだ。自死する状況ではないのに自死したのである。変である。おかしい。
マスメディアは知事を告発した職員を「死をもって抗議」に追い込んだ公益通報者を守れぬ「保護法」と述べて兵庫県の保護法を非難している。しかし、それはおかしい。県民局長には発言する公の場所を与えられたのだ。発言場所があるのに「死をもって抗議する」は生きて抗議することを放棄したということだ。兵庫県には彼の死に対して責任はない。
県民局長の自死は謎である。彼の死に兵庫県はなんの責任もない。彼の自死の原因をマスメディアは解明するべきであるが、マスメディアは斎藤知事を犯人に仕立て上げるのに懸命である。
県民局長の自死を解明できるのは誰も居ない。それが真実である。