「慰安婦は日本軍が保護していた売春婦」を発信していくべきだ
河野談話の検証を政府は発表した。
○ 宮沢喜一首相訪韓までの日韓のやり取り
○ 加藤紘一官房長官の発表までのやりとり
○ 元慰安婦からの聞き取り調査の経緯
○ 河野談話の文言をめぐるやり取り
○ 韓国における「女性のためのアジア平和国民基金」事業の経緯
河野洋平元衆院議長は21日、山口市で講演し、従軍慰安婦問題に関する1993年の河野洋平官房長官談話の作成過程を検証した政府の報告書について「正しく全て書かれている。足すべきところも引くべきところもない」と述べた。
河野氏本人が政府の河野談話の検証に対して太鼓判を押した。検証の信頼性は高くなった。
読売新聞から「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」が発表された。かなり詳しく説明している。
「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」を読んだが、1992年7月6日、加藤官房長官の記者会見において日本政府に決定的な誤りがあることに気が付いた。
加藤官房長官は、関係資料が保管されている可能性のある省庁において資料の調査を行った結果として、
○ 慰安婦の募集に当たる者の取締り、
○ 慰安所の設置、
○ 慰安施設の築造・増強、
○ 慰安所の経営・監督、
○ 慰安所・慰安婦の衛生管理、
○ 慰安所関係者への身分証明書等の発給、
以上の点に政府の関与があったことを認めた。それは事実であり、認めるのは当然である。問題は政府が関わったことを「悪いことである」と日本政府が判断したことである。
「いわゆる従軍慰安婦として筆舌に尽くし難い辛苦をなめられた全ての方々に対し、改めて心よりお詫びと反省の気持ちを申し上げたい」、
「このような辛酸をなめられた方々に対し、我々の気持ちをいかなる形で表すことができるのか、各方面の意見を聞きながら、誠意をもって検討していきたいと考えております」
と日本政府は韓国の慰安婦対してひどいことをやったと加藤官房長官は発表した。
日本は明治以降法治国家であり続けた。政府が関与するときには法律に従って関与・行動する。慰安婦に関して日本軍が関与したのなら日本軍は慰安婦に関する法律に従って行動した。法治国家であり規律に厳しい日本軍なら当然である。慰安婦は売春婦である。売春婦に関する法律は日本の場合は「娼妓取締規則」であり、韓国では「貸座敷娼妓取締規則」である。
加藤官房長官はこの二つの法律があったことを知らなかったか、知っていたとしてもその法律を政府・日本軍が遵守していなかったと思っていたのかもしれない。
しかし、法治国家である日本で政府や日本軍が法律を遵守しなかったというのはあり得ないことである。
日本軍は世界の軍隊の中でも規律は厳しい方である。日本軍の遵法精神は高く、売春婦に関する法律である「娼妓取締規則」「貸座敷娼妓取締規則」を遵守したのである。
○ 慰安婦の募集に当たる者の取締り、
「慰安婦の徴用の仕方に関し、強制的に行われたのか、あるいは騙して行われたのかを裏付ける資料は調査で発見されておりません」と 加藤官房長官は答えている。
慰安婦は民間人であり、軍人ではない。慰安婦は日本兵を相手に商売をする女性であるから、日本軍のやる仕事とは異なる。だから日本軍が直接慰安婦を採用することはなかった。日本軍が直接慰安婦を徴用することはなかったのだから、徴用した記録そのものがあるはずはない。徴用そのものがなかったのだから、強制的に行われたのか、あるいは騙して行われたのかを裏付ける資料があるはずがない。
■ 娼妓取締規則(明治三十三年十月内務省令四十四号)
第一条 十八歳未満の者は娼妓になってはいけない。
第二条 娼妓名簿に登録されていない者は娼妓稼をしてはいけない。
娼妓名簿は娼妓所在地所轄警察官署に備えるものとする。
娼妓名簿に登録していない者は警察官署が取り締まる。
第三条 娼妓名簿に登録する時は本人が自ら警察官署に出頭し、左の事項を書いた書面を申請しなければならない。
一 娼妓になる理由
二 生年月日
三 親のいない時は戸主の承諾を得る。もし、承諾を与える者がいない時は其事実を書く。
四 未成年者の場合は戸主と実父、実父がいない時は実母、実父母がいない時は実祖父、実父母実祖父がいない
時は実祖母の承諾を得なければならない。
五 娼妓稼をする場所を明記する。
六 娼妓名簿登録後に於ける住居を明記する。
七 現在の生業を報告する。ただし、他人に頼って生計を営む者はその事実を報告する。
八 現在娼妓であるかの有無を報告する。または嘗て娼妓であった者は其稼業の開始廃止の年月日、場所、娼妓だった時の住居を報告し、稼業廃止の理由を報告する。
九 前各号の外庁府県令にて定めた事項を報告する。
前項の申請には戸籍吏の作った戸籍謄本前項第三号第四号承諾書及び市区町村長の作った承諾者印鑑証明書を添付しなければならない。
慰安婦は日本国内か韓国内で集めている。だから国内法が適用される。娼妓=慰安婦を取り扱うのは日本軍ではなく警察であった。
日本は十八歳以上、韓国は十七以上が娼妓=慰安婦になれた。年齢が日本では一八未満、韓国では一七未満の女性は慰安婦になれなかった。
慰安婦になるためには必要な書類を準備して本人が直接警察に出頭しなければならなかった。
韓国で慰安婦集めに警官が関わっていたと、それを悪い意味で指摘する評論家がいるが、警官が書類の受付けをするのだから、書類の受け渡し、書類作成の仕方を警官がやった。だから警官が慰安婦と接していたのは当然である。慰安婦になりたい女性に相談されたケースも多かったはずである。
「娼妓取締規則」を読めば、警官が慰安婦希望者と接していたことは理解できる。慰安婦は性奴隷であったと決めつけるから、警官が性奴隷集めに加担したと悪いほうに思ってしまうのだ。
慰安婦は民間人であり軍人ではない。だから、日本軍が慰安婦を集めることはできない。慰安婦を集めるのは日本軍が依頼した民間人がやっていた。日本軍は誰も彼もに依頼したのではなく、信頼できる人間に依頼していた。しかし、斡旋者の中には女性を甘言や騙して慰安婦しようした者が居て、日本軍や警察は悪い斡旋者を取り締まっていた。悪徳斡旋者を逮捕したという記録もあるくらいだ。
○ 慰安所の設置、
○ 慰安施設の築造・増強、
第八条 娼妓稼は官庁の許可した貸座敷以外では仕事をしてはいけない。
娼妓は政府が指定してつくらした貸座敷=遊郭のみで商売することができた。遊郭外で商売することを禁じられていた。自由に出入りできないように遊郭の周囲は堀や塀で囲み、出入口は一か所だけであった。遊郭で有名なのが吉原である。遊郭は全国にあった。沖縄には那覇に辻という遊郭があった。
慰安所とは大陸版遊郭である。遊郭は政府が指定した場所でのみ営業することができたように、大陸版遊郭である慰安所も政府の代理である日本軍が指定した場所であり、慰安婦は慰安所のみで営業することができた。その場所は日本軍陣地に近く日本軍が慰安婦の安全を守れる場所であった。
慰安所の場所を政府の代理である日本軍が指定することは当然であり、日本兵が増加すれば慰安婦を増やす必要があるから慰安所の築造や増築を指示するのも当然である。
○ 慰安所の経営
慰安所の経営を日本軍はやっていない。楼主がやっている。遊郭には楼主が居て、七、八人の娼婦を抱えて商売をしていた。娼婦の金銭や健康や人間関係の管理を楼主がやっていたのだ。慰安所は遊郭と全く同じシステムで経営されていた。
慰安所が大陸版日本兵相手の遊郭であったことは楼主の存在でも分かる。
○ 慰安所の経営・監督
慰安所の安全管理をしていたのは憲兵である。慰安婦と日本兵のトラブルは多かっただろう。それを取り締まるのが憲兵であった。
○ 慰安所・慰安婦の衛生管理、
第九条 娼妓は庁府県令の規定に従い健康診断を受けなければならない。
第十条 警察官署の指定した医師又は病院で病気だと判断された者や伝染性疾患にかかった者は治癒したと医者が診断しない限り稼業に就くことをしてはならない。
定期健診は娼婦の義務であることを娼妓取締規則に明記している.軍医が一週間に一度は慰安所に行き慰安婦を検査していたことは多くの記録が残っている。軍医が定期的に慰安婦の健康診断をしたのは「娼妓取締規則」に従ったのである。
慰安所は慰安婦たちが安全に働くために日本軍が関わったのに、慰安婦=性奴隷と主張する韓国の圧力に押されてしまった日本政府が日本軍が慰安婦を性奴隷のように扱ったと思ったことが大きな間違いである。慰安婦=性奴隷が世界に広まった原因である。慰安婦は日本兵相手の売春婦である。慰安婦の安全を守るために日本軍は関わったと主張していれば、慰安婦=性奴隷が世界に広まることはなかった。
慰安婦募集の際の軍の関与についても、韓国側は「軍又は軍の指示を受けた業者」がこれに当たったとの文言を提案し、募集を「軍」が行ったこと、及び業者に対しても軍の「指示」があったとの表現を求めてきたが、日本側は、募集は、軍ではなく、軍の意向を受けた業者が主としてこれを行ったことであるので、「軍」を募集の主体とすることは受け入れられない、また、業者に対する軍の「指示」は確認できないとして、軍の「要望」を受けた業者との表現を提案した。
これらに対し、韓国側は、慰安所の設置に関する軍の関与、及び、慰安婦の募集の際の軍の関与の双方について、改めて軍の「指図(さしず)」という表現を求めてきたが、日本側は受け入れず、最終的には、設置については、軍当局の「要請」により設営された、募集については、軍の「要請」を受けた業者がこれに当たった、との表現で決着をみた。
読売新聞
日本政府と韓国政府のやりとりは、慰安婦は性奴隷であったと暗に日本政府も認めていて、できるだけ日本軍が慰安婦に関わっていなかったと弁解をして、日本の責任を回避するために言い逃れしているという印象である。
日本政府は慰安婦は性奴隷ではなかったと断言することができなかった。むしろ、性奴隷だったかもしれないと思っていたのだ。
だから、日本政府は「お詫びと反省」について、「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた方々ひとりひとりに対し、心からお詫び申し上げる」という原案を提示している。そして、「お詫び」の文言に「反省の気持ち」を追加することを要望した韓国側の要求に日本側はこれを受け入れた。
「当時の朝鮮半島は我が国の統治下」にあったことを踏まえ、慰安婦の「募集」「移送、管理等」の段階を通じてみた場合、いかなる経緯であったにせよ、全体として個人の意思に反して行われたことが多かったとの趣旨で「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」という文言で最終的に調整されたというが、「本人たちの意思に反して」という文言が「性奴隷」であったという証拠になってしまった。
河野氏は、
「慰安婦募集での日本軍の強制性については『当時、軍に慰安所があったのは事実だ。慰安婦の中には自分の意思で来た人もいるかもしれないが、中に入ってしまえば軍の命令には逆らえない。そうした意味での強制性があった」
と述べているが、それは慰安所のシステムを知らない河野氏の間違った考えである。
慰安所には楼主が七、八人の慰安婦を抱えて、彼女たちの世話をしていた。憲兵が慰安婦たちの安全を守っていた。そして、軍医は一週間に一度慰安婦の性病・健康検査をしていた。病気の慰安婦を働かせることは禁じていた。
日本軍にとって慰安婦は兵士のストレスを発散させ、性病から守ってくれる大事な存在であった。慰安婦が日本軍を強くしてくれる存在であると考えていたのだから、彼女たちを大事にこそすれ性奴隷にすることはあり得ないことであった。
「中に入ってしまえば軍の命令に逆らえない」は慰安所を知らない軽率な発言である。
日本政府が政府として問題にするべきは慰安所のシステムが慰安婦を性奴隷にしているシステムかそれとも売春婦の安全を守るシステムかである。「中に入ってしまえば軍の命令に逆らえない」は法律やシステムの問題ではなく、日本軍には法律・規律がなくやりたい放題あったであろうという一般人的な推理である。政治家の発言としてはお粗末である。
「中に入ってしまえば軍の命令に逆らえない」というなら政治家であるなら慰安婦への軍の理不尽な命令とはどういうケースが考えられるか具体的に示すべきである。もし、軍の命令で慰安婦にお金を払わない、病気になっても無理やり働かせる。二十四時間休みなしに働かせる等々をやれぱ、それは違法行為になる。違法行為に政府が責任を取らなければならないのか。
インドネシアではオランダの女性捕虜を慰安婦にした時に、慰安婦になることに同意する日本語の文書に、内容を説明することもなく無理やりサインをさせた。そのことを軍司令部が知ったので慰安所を閉鎖したという事実がある。慰安婦になるには本人が納得したという同意文書が必要であったのだ。
慰安婦は日本軍が彼女たちの身の安全を保護していた売春婦であったのだ、
韓国政府は慰安婦は売春婦ではなく性奴隷であったことにしたいのだ。韓国政府の主張はすべて「慰安婦は性奴隷」の根拠から発言している。「河野談話」は慰安婦が性奴隷であったというゆるぎない証拠であると韓国政府は思っている。
「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた方々」の河野談話は性奴隷を認めた発言であり、「中に入ってしまえば軍の命令には逆らえない」という河野氏の発言も性奴隷を認めたと韓国政府は理解するだろう。
朴裕河(パク・ユハ)氏(57)が出版した「帝国の慰安婦」には、日本軍による性的暴力は、
○ 1回きりの強姦(ごうかん)
○ 拉致した上での性的暴力、
〇 管理下での売春
の3種類があったと書いている。そして、朝鮮人慰安婦の大部分はこの3番目のケースが中心だと述べている。
朴裕河氏のほうが慰安婦について的確に表現している。日本軍、憲兵、軍医、楼主の四者が慰安婦をそれぞれに管理していた。慰安婦は「管理下での売春婦」である。
「1回きりの強姦」「拉致した上での性的暴力」は慰安婦問題ではなく、日本兵による戦争性犯罪である。韓国政府は戦争性犯罪も慰安婦問題にしている。
「帝国の慰安婦」は一年前に出版しているという。しかし、日本の政治家、評論家が「帝国の慰安婦」について述べているのを見たことがない。慰安婦が「管理下の売春」であると主張している意見も見たことがない。
それどころか、橋下市長は
「欧米人は『日本人は性奴隷を持っていた』と言うが、『俺たちも悪いけど、お前たちも悪い』と、言い返すような日本人を作らなきゃいけない」と慰安婦が性奴隷であったと言っている。他の政治家は慰安婦(売春婦)はどの国にもいたと言っている。これじゃあ慰安婦問題を解決するのは無理だ。
世界が慰安婦は性奴隷であったと信じるのは日本の政治家や識者の責任だと最近は思わざるを得ない。
日本政府は「河野談話の検証」を発表した。河野氏は政府の発表は正しいと発言した。
安倍首相は検証はしても「河野談話」を継承すると公言した。米国、韓国との亀裂を避けるためには政府としてはそう言わざるを得ないだろう。
これからは野党保守の政治家や識者やマスコミの責任だ。韓国で「帝国の慰安婦」が出版されている。日本も慰安婦は性奴隷ではなくて日本軍が保護していた売春婦であったことを国内・国外に発信していくべきだ。