2015年07月26日

第三者委員会は空砲である


「翁長知事・県議会は撤回せよ謝罪せよ」
「一九七一Mの死」
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「沖縄に内なる民主主義はあるか」
第六章 八重山教科書問題はなにが問題だったか全文
第五章 普天間飛行場の移設は辺野古しかない全文
第四章 基地経済と交付金の沖縄経済に占める深刻さ全文
第三章 県議会事務局の米軍基地全面返還したら9155億5千万円経済効果試算の真っ赤な嘘全文
第二章 命どぅ宝とソテツ地獄全文
第一章 琉球処分は何を処分したか全文

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第三者委員会は空砲である
いよいよ埋め立て工事が始まる。埋め立て工事が始まりは翁長知事の敗北の始まりである。

第三者委員会は委員長に大城浩元沖縄弁護士会会長、當真良明前沖縄弁護士会会長・田島啓己弁護士、環境分野から沖縄大の桜井国俊名誉教授(環境学)、琉球大の土屋誠名誉教授(生態系機能学)と東京大の平啓介名誉教授(海洋物理学)全6委員。
第三者委員会の大城浩委員長は16日、県庁で翁長雄志知事に報告書を手渡した。埋め立て申請は法の要件を満たさず、これを承認した手続きに四つの法的瑕疵があると結論づけた。
(1)埋め立ての必要性に合理的な疑いがある。
(2)埋め立てで生じる利益と不利益を比べると合理的ではない。
(3)環境保全措置が適正と言い難い。
(4)法律に基づく既存の環境保全計画に違反している可能性が高い。

早ければ8月中にも翁長知事が承認の取り消しに踏み切る公算が大きくなっていると報道したが、もし、第三者委員会の報告を根拠に埋め立て申請を取り消したら翁長知事に逆風が吹きまくるだろう。
第三者委員会は翁長知事の私的な諮問委員会であり、法的な権限はない。辺野古埋め立てについて公的な権限があるのは県土木建築課である。県土木建築課が瑕疵がないと判断したから仲井真知事は承認したのである。現県土木建築課が瑕疵があると言えば翁長知事は取り消しの根拠にすることができるが私的な諮問機関である第三者委員会が瑕疵があるといってもそれを根拠に申請を取り消すことはできない。

産経新聞(2015年7月20日)に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設で、埋め立て承認を検証した同県の有識者委員会による県職員へのヒアリングの主なやりとりが掲載された。

防衛省の環境保全措置「安請け合いのオンパレードではないか」 辺野古未公表議事録の要旨

 【埋め立ての必要性・合理性】

 当真良明委員「仲井真弘多前知事は普天間飛行場の県外移設を求める発言をしていた。辺野古移設の必要性・合理性との関係で疑問がある」

 職員「知事から発言を前提に審査しなさいという指示はなかった。知事の政治的考えや選挙公約は審査の前提条件でもない。なぜなら審査基準にそういうものがないからだ」

 桜井国俊委員「仲井真氏にどう説明したか」

 職員「そのとおり説明した。(承認は)最終的に知事が印鑑を押している」

 桜井氏「あまりストンとこない」

 職員「はい? 公有水面埋立法の観点から審査を進め、知事の政治的スタンスは前提条件に置かないということだ」

 桜井氏「すっきりした回答ではないが、私のほうは一応終わる」
      「産経新聞」
 埋め立て申請は法的なものであり、仲井真知事の政治姿勢は関係がない。仲井真知事が県外移設を主張していても、防衛局が提出した辺野古崎沿岸埋め立て申請は政治とは関係がなく公有水面埋立法という法律に則っているか否かを判断しなければならない。
 仲井真知事が政治権力で審査に圧力をかけることは禁じられている。当真良明委員が仲井真知事が県外移設を発言していたのに職員に圧力をかけなかったことを疑問視しているが、それは当真良明委員が法を理解していない。職員の主張が正しい。当真良明委員の主張は間違っている。

 【知事意見】

 当真氏「環境保全などで知事が提出した意見をどういう形で検討したか」

 職員「5百数十件の意見を出し、意見に対する防衛省の見解ということで全部示されている。知事意見を受けて補正した部分がどうなっているかはすべてチェックした」

 当真氏「防衛省の見解をチェックした。それでもう全部OK、500をクリアしたから大丈夫と。そこで出ていないものは問題ないという判断だったのか」

 職員「約9カ月、(埋め立て)申請書の内容を詳細に調べ、関係部局にも意見を照会した。意図的にわれわれにミスがあるかのような言い方をされることは心外だ。審査の結果、環境保全上の支障を見つけられなかったというのが現状だ」
       「産経新聞」
 ありったけの意見が5百数十件あったと職員は述べている。当間氏の「そこで出ていないものは問題ないという判断だったのか」の質問がおかしい。職員の意見はまっとうだ。


【オスプレイ】

 桜井氏「オスプレイの騒音は離着陸に加え、訓練時も問題はないか視野に入れていなかったか」

 職員「那覇空港第2滑走路建設でも(空港を使用する)自衛隊機が訓練をする場所の騒音は申請書の予測評価に含まれていなかった」

 桜井氏「そのとおりだが、県民の観点からそれではいかがなものかなと思う。それは見解の相違なのでそこまでにする」
       「産経新聞」
 職員の意見を「見解の相違」ということで認めている。

 【他の計画との整合性】

 当真氏「琉球諸島沿岸海岸保全基本計画で海岸を保全すべき区域に(辺野古沖が)重なる。そこに施設設置を認める場合、関係機関と調整をした上で設置の可能性を考えなさいとなっている。防衛省は調整をしておらず、必要な手続きを欠いているのでは」

 職員「(調整を)やっていないから他の手続き(承認)に波及するかといえば必ずしもそうではない。調整が終了しないと(承認)できないという認識ではなかった」

 当真氏「わかった」

 職員「補足する。海岸環境を保全する区域であることを理由に埋め立てを拒否した事例は、知る限りではない。逆に、保全区域で埋め立てを認めた事例もあると聞いている」
        「産経新聞」
 公有推論埋立法とは関係のない質問をした当間氏は職員に一蹴された。ダメ出しまで言われている。明らかに当間氏の敗北である。


【環境保全措置】

 桜井氏「公有水面埋立法は環境保全への十分な配慮を求めている。保全措置に対する懸念が払拭できていないのでは」

 職員「審査すべき事項は審査し、法に基づき十分に配慮されているレベルにあると判断した」

 桜井氏「(防衛省との質疑応答で)防衛省の回答は必要に応じて何々をするという表現が53カ所、可能な限りうんぬんというのが44カ所。安請け合いのオンパレードではないか」

 職員「この案件以外もそうだが、(環境保全措置で)書かれている事項はすべて実施してもらうということで審査をしている」

 桜井氏「そうなればよろしいが…」
       「産経新聞」
 第三者委員会による職員のヒアリングは明らかに職員の主張がまともであり、職員の勝利である。第三者委員会の報告には職員の意見が反映されるべきである。                  

第三者委員会の調査に対して埋め立て申請を審査した元県土木建築課の職員は瑕疵がなかったと主張した。それに対して第三者委員会は職員に瑕疵があることを認めさせることはできなかった。県の職員が瑕疵がないと主張したということは県は瑕疵がないと主張していることを意味する。第三者委員会は翁長知事の私的な諮問機関であって県の機関ではないからだ。県の機関ではない第三者委員会が瑕疵があると主張し、県の機関は瑕疵がないと主張しているのである。翁長知事が第三者委員会の主張を根拠に承認取り消しをすれば法的には県の判断を翁長知事が無視したことになる。

がっかりしたのは第三者委員会の瑕疵の根拠である。沖縄の権威ある人たちだから決定的な瑕疵を見つけて、厳しい意見を出すと思っていた。ところがなまくらな意見である。沖縄の権威者とはこの程度の能力しかないのか残念である。それが素直な感想である。

第三者委員会は(1)で埋め立ての必要性に合理的な疑いがあると主張しているが、第三者委員会に求められているのは埋め立て申請に瑕疵があるかないかである。それは公有水面埋めて法を基準にして判断するものである。
埋め立ての必要性に合理的な根拠があったから防衛局は埋め立て申請をしたのである。第三者委員会が取り扱う問題は埋め立て申請に瑕疵があるかないかである。ところが第三者委員会は埋め立てが合理的か否かまで介入している。
安慶田副知事は「承認手続きの過程に法律的な瑕疵がなかったかどうかを検証することを目的として設置したと述べている。翁長知事が第三者委員会に求めたのは法律的な瑕疵を見つけることである。ところが第三者委員会は、(1)事業の合理性(2)環境保全策(3)他の行政計画との整合性を中心に論点を整理するのを目的にした。(1)事業の合理性と(3)他の行政計画との整合性は埋め立て申請の瑕疵とは関係がないから第三者委員会がやるべきことではない。
(1)は瑕疵とは関係のないことで
あり、(2)の「埋め立てで生じる利益と不利益を比べると合理的ではない」も瑕疵とは関係がない。 (1)と(2)は瑕疵とは関係がないから埋め立て中止の根拠にすることはできない。
第三者委員会は最初から申請の瑕疵以外の検証をやろうとしていた。つまり、第三者委員会は瑕疵の有無を検証する委員会ではなく辺野古埋め立てを政治的な視点から検証する組織であったことが分る。
 翁長知事が第三者委員会に求めたのは埋め立て申請書に瑕疵を見つけることであった。申請書の中のこの箇所は瑕疵であると具体的に指摘することが第三者委員会の任務であったのに、第三者委員会は瑕疵を見つけていない。(3)は「環境保全措置が適正と言い難い」と抽象的に述べているだけである。瑕疵の箇所を指摘していない。(4)は「法律に基づく既存の環境保全計画に違反している可能性が高い」と公有水面埋立法に違反している箇所を指摘しないで「法律に基づく既存の環境保全計画」とこれも抽象的な指摘である。それも「違反している可能性が高い」と述べ、違反しているとは断言していない。
 第三者委員会は防衛局が提出した辺野古埋め立て申請書に瑕疵があるかないかの調査はやっていない。だから、(1) (2) (3) (4)のような瑕疵を指摘しない抽象的な表現になったのである。

 第三者委員会の報告を根拠にして翁長知事が埋め立て承認をした場合、次のような問題が出てくる。

(1)第三者委員会は翁長知事の私的諮問委員会であり、公的な権限も権威もない。第三者委員会の報告を根拠に埋め立て取り消しをする権限は翁長知事にはない。
(2)瑕疵を根拠に取り消しをするなら、審査をした県職員を納得させ、処分しなければならないが、第三者委員会は職員に瑕疵があることを納得させることができなかった。私的諮問の第三者委員会より県職員の判断のほうが公的権威はあるから、第三者委員会の意見は法的には無効である。
(3)瑕疵を根拠に申請を取り消すなら、県職員と仲井真知事に瑕疵があることを認めさせなければならない。

 防衛局は翁長知事が第三者委員会の報告を根拠に埋め立て申請を取り消した時には(1)から(3)の理由で取り消しを無視することができる。取り消しは無効であると訴訟を起こすこともできる。
 翁長知事の打ち上げ花火は大成功した。県民の翁長支持を高め、辺野古移設反対の世論も高まった。しかし、花火だけでは辺野古移設を止めることはできない。辺野古移設阻止の実弾を政府に撃たなければならない。それが第三者委員会の報告であった。しかし、第三者委員会自体が実弾ではなく空砲である。
 翁長知事の申請取り消し宣言ははなんの効力もない空砲なのだ。翁長知事を支持している県民は実弾だと信じているだろうが、翁長知事自身は空砲であることを知っている。空砲を空砲ではないように見せるためにはどうすればいいか。それが翁長知事の悩みだろう。

 国は空砲は撃たない。実弾を撃つ。
防衛省が埋め立て工事の実施設計文書を沖縄県に提出した。それは実弾である。


文書提出は工事を予定通り前に進める姿勢を示したものだ。
 文書は、普天間飛行場の移設先である沖縄県名護市辺野古の沿岸部で行う埋め立て工事の実施設計や環境対策をまとめたもの。防衛省と県との取り決めで、着工前に県に示し、協議を行うことが定められていて法に則った文書提出である。

防衛省は当初、ボーリング調査がすべて終わった段階で県に提出する方針だった。しかし、台風などの影響でボーリング作業が遅れ、調査は5か所で継続中であるが、早期の着工を目指すには、「できる所から実施設計をまとめ、県と協議を始めるべきだ」(防衛省幹部)と判断した。中谷防衛相は24日、記者団に「いろんな条件が整えば夏頃にも着手したい、と言ってきた。各種の準備が整った」と述べ、県との協議を早期に終えたい考えをにじませた。
 協議といっても防衛局が埋め立て計画を県に報告するものであり、協議で意見交換や、県が新たな要求ができるというものではない。形式的なものである。沖縄タイムスは「県側は反発を強めており、先行きは不透明だ」と書いているが、先行きは透明である。中谷防衛相は24日、記者団に「いろんな条件が整えば夏頃にも着手したい、と言ってきた。各種の準備が整った」と述べている。協議を早期に終え、防衛局は予定通り工事を進めるということだ。県が協議を断ったら、放棄したとみなして協議終了を宣言すればいい。県が引き延ばそうとすれば協議期限を設定すればいい。国の計画通り埋め立ては進む。

2015/07/24 に公開
平成27年7月23日木曜日に放送された『沖縄の声』。本日は、キャスターの又吉康隆­氏に前回に引き続き「安倍政権が会期を三ヶ月延長して安保法制関連案を成立させようと­する本当の理由」、コラムでは「宮崎駿の欺瞞」をテーマに解説いただきます。
※ネット生放送配信:平成27年月7月23日、19:00~
出演:
 又吉 康隆(沖縄支局担当キャスター)


次回放送は平成27年8月6日木曜日


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